室内空気環境
その3 効果温度
快適な温度環境を作り出すには、効果温度を知ろう

  タマチャンねー、いろいろ調べているうちに解かったことは、普段一番快適な場所を見つけて寝てるでしょ。その場所がどうして快適なのかという理由が解かったような気がするんだ。というのは、うちのボスは温熱環境のことを安田住宅性能研究所の安田先生という人に教わっているんだよ。それでこの間勉強から帰ってきたら、「そうなんだなー、効果温度と室温との差が小さければ小さい程、快適で省エネなんだなー。」なんて独り言いってるんだよ。効果温度ってなんなのさ?って聞いたら、

「人が暑さ、寒さを感じているのは、温度だけではないんだね。日差しとか、風とかを総体的に感じて暑いとか、寒いとか気温とは別の感じている温度があるんだね。それを体感温度というんだよ。一方室内では、それともう一つ家の床・壁・天井・窓からの輻射熱というのを感じているんだ。冷暖房をしている時実際に感じている温度というのは、この輻射熱(壁の表面温度)と室内の空気温度を足して2で割った温度を感じているんだって。この温度のことを効果温度というんだってさ。タマチャン、以前高いところが好きだけど冬でも暑すぎていやだといってたね。これはネ、暖房のおすすめ温度は2022℃だよね。そこで効果温度を20度にしたいと思ったとき壁の表面温度が何度か?が問題なんだ。15℃だったとしようか。そうすると効果温度=(暖房温度+表面温度)/2 だから 暖房温度=効果温度x2−表面温度つまり
 暖房温度=20x2−15 =25℃ ということになるね。そこで
25℃の室温になるよう暖房すると対流が起きて、天井に近いところは30℃ぐらいになっても、床に近いところは13℃くらいということになるんだ。とても快適とはいえないね。」 

 でもさーボス、気密をしっかりすれば対流は起きないんでしょー。

 「よくおぼえていたね。気密をしっかりすれば外気の進入が無くなるので、対流は小さくなるね。でも表面温度と暖房温度の差の分、対流が起きることになるね。その結果、床面近くが15℃で中間が25℃、そして天井付近が28℃ぐらいの状態になるんじゃないかな。これじゃーまだ快適とは言えないね。タマチャンなんか20〜30センチの高さがあれば十分だから、快適な温度の高さを探せばいいけど、人間は寝てる時意外は、どうしても部屋の中間高さの温度を一番感じるんで、快適とはいえないんだよ。足元が寒いとか、頭が暑いとか。」

 人間って不便だね。じゃー皆が快適になるにはどうしたらいいの?。

 「さっき言っていたでしょ。効果温度と室温が小さければ小さい程快適だって。つまりさっきの計算式で考えればすぐ解かるでしょ。」

 えーとネー。えーと、そうだ。表面温度が室温に近ければ、効果温度も室温に近くなるよね。そーでしょ。

 「よく解かったね。室温つまり暖房温度と壁などの表面温度が近ければ、2022℃で暖房すればよく、表面温度が20℃ならば上下の温度差も1~2℃程度におさえられるんだね。こうなれば本当に快適だし、省エネルギーだから全空間の暖房が可能だね。そうすれば部屋間の温度差もなく、長生きできると言う訳だよ。」

じゃーさー、うちの表面温度上げればいいじゃん。早く上げてよ。わかっているならさー。

 「それがね、後からでは難しいんだよ。建てるときにやらないとね。 熱の伝わり方に伝導というのがあったよね。熱は固体(物体)を伝わって移動するでしょ、これが家の場合は、床・壁・天井・窓ということになるよね。いつでも高いほうから、低いほうへと熱は移動しようとしているんだ。夏は外から中へ、冬は逆に中から外へと移動するんだ。夏冬で移動方向が逆になるんだ。このことを覚えておいてね。家の寿命にかかわる大変重要なことだからね。」

 わかったよ。覚えておくよ。タマチャンニワトリじゃないから、忘れないよ。それで、それで 

 「だから熱の移動をしにくくすればいいわけだ。そのために建物の各場所に断熱材というものを取り付けるんだ。床の断熱材・壁の断熱材・天井の断熱材という具合にね。」

 ふーん 断熱材ならなんでも入れればいいわけね。

 「それがそうならいいんだけど、断熱材にもいろんな材質や厚みのものがあって、それぞれに違う性質があるんだよ。比較的コストの安い繊維系のものは、湿度を吸収しやすい欠点があり、吸湿性の少ない発泡樹脂系のものは値段が高いんだ。出来上がってしまうと見えなくなる部分なので、真剣に考えないで選んでいる場合が多いのが残念だね。後で取り替えるのは大変だし、性能の高い断熱施工は、省エネルギー性が高く、内部結露が防げれば、建物も長持ちするから、建てるとき少しぐらい価格が高くても、ランニングコストやライフサイクルコストが低いから、すぐに元がとれるんだよ。それに、なんってたって快適ー、なんてったって快適ーだよね。」

 や、やめてくれー。小泉総理みたいに唄うのだけはかんべんしてー。

 「だからね、断熱材を選ぶ条件は、構造躯体・工法の基本変更なしで、可能な限り断熱性能の良いものを厚く使う。充填工法とか外張り工法とかは、木造住宅においては、造る側の勝手な理屈なので、どうでも良くて、とにかく、断熱性能の高い材質のものを、可能な限り厚く使用する。という事に尽きるね。そうして外気温に左右されない室内空間が造り出せれば、床・壁の表面温度が冷暖房の温度と差がなくなり、表面からの輻射熱で体が包み込まれるような、寒くなく、暑くない、冷暖房をしていることを忘れてしまうような、快適な住まいが出来るんだよ。それに、冷暖房費もそれほどかからず、とっても安心だよ。」

 へーー、出来たらすごいね。夢だねこれは。

「それが夢じゃなく出来るんだよ。断熱性能ではトップクラスの硬質ウレタンフォームという材料を柱の太さと同じ105mmの厚みを使用するんだ。なぜ柱と同じ厚みかというと、内外装の材料を効率よく施工するためには、これ以上の厚みにできないし、これより薄くすれば性能が悪くなるし、空いた隙間中の水蒸気が問題を起こす心配があるんだ。それにね、内装下地材のプラスターボードは、裏が断熱材に接していてはじめて蓄熱材としての効果を発揮するんだよ。性能を悪くして、心配を増やす。なんでそんな事をする必要があるのか、タマチャンはわかるかな?」

 人間のする事でしょ、想像はつくよ。タマチャンはネコだから小判に興味はないのよ。それより言ったでしょ!。一生かけて快適を追求するって。

 「そういう断熱材を使って、窓はペアガラス仕様の断熱サッシを組み合わせる。もちろん計画換気つきだよ。そして目標の熱損失係数は Q=1.6kw/uk T地区(北海道)基準値と同等の性能を達成できる工法。これが理想だね。」

 すごいことになってきたぞー。期待できるよね。こんどは計画換気を調べてみるか。興奮して眠気なしだよ。遊びに行こーっと。