結露・カビ対策
 
過剰な湿気を出さない努力が身を守る

空気ってさー、温度によって水蒸気の含んでいる量が違うっていったよねー。ボスに聞いたらこんな表を作ってくれたけど、なんか大きいばかりで見ずらいねー。この表は飽和水蒸気量といって、空気が温度によって含むことのできる水蒸気の限界量を示した表なんだって。0℃、10℃、20℃、30℃の温度の時一立方メートルの空気中に含むことのできる水蒸気の限界量は、それぞれ4.8 9.4 17.3 30.3グラムなんだって。これは湿度100%の状態ってことになるよね。20℃100%の部屋においてある室温と同じ温度のガラスのコップに10℃に冷やした飲み物を入れたら、コップの外側に水滴がつくよね。これは、コップに接している空気が飲み物に冷やされて温度がさがる。下がると飽和水蒸気の量も少なくなるので、下がった温度の飽和水蒸気量を超えた水蒸気は、水蒸気の形でいることが出来なくなり水になり、コップの外側につく、ついた水滴が結露水っていって、理論的には空気一立方メートルあたり 17.3-9.4=7.9グラムの水滴の量になるんだってさ。これが結露発生のメカニズムなんだって。住宅では、物の表面に水滴のつく表面結露と壁材等の内部で結露する内部結露があり、それぞれに被害をもたらすので結露のしない家づくりが理想であり、また基本でもあるんだって。

タマチャンさー、こー言っても建物の結露って自慢じゃないけど、見たことないのよ。

そうかー、おじいちゃんの家は隙間だらけの木の家だったから、暖房しても結露しなかったよね。昔の家は、家の内外の温度差もそれほどないから結露するとこまでの状況にならなかったんだね。冬でも寒かったでしょ。

うん。夜は、コタツか布団の中から出られなかったよ。それに比べると東京の家はいいね。でもなんか喉が渇くよね。

そうだね。うちでは結露しないように常時換気してるし、それよりも過剰な湿気を出さないように気をつけているんで、少し乾燥気味かもしれないね。

そうなんだー、でも結露ってなんでいけないの?

結露がするってことは換気が十分にされてなくて、室内に温度差があるってことだよね。そうするとね、結露した水滴(結露水)はかなり汚れた水なんだ。窓ガラスの水滴はカーテンや垂れて窓枠をよごしたり、濡らしたりするね。また、洗面所やトイレの壁や天井の隅、押入れの奥、タンスの裏などににも同じように結露がおこるんだ。結露水は汚れているっていったよね。その汚れのなかにカビの胞子もふくまれているんだ。そうすると付着した汚れのなかのカビが湿気というエサのなかで成長をはじめるんだ。

カビというのは正式には「真菌」といい大きく「糸状菌」と「酵母」とがあり、人間の生活圏に昔から存在していて、みそやチーズから抗生物質まで人間の生活に利用され、なくてはならない存在である一方、カビの胞子や菌糸の断片を吸い込むことで、体質によっては喘息を引き起こしたり、耐力の弱っているときには、カンジダ症、アスペルギルス症、ムコール症、クリプトコッカス症など内臓にカビが生える内臓真菌症や、皮膚の傷口からカビが侵入しておこる黒色真菌症などという疾病を起こすことがあるんだって。ケナガコナダニや喘息の重要なアレルゲンとなるヒョウヒダニなどは、カビを好んでエサとして増殖するので、元から絶つ意味でもカビを発生させない、結露を起こさせないと言う事が健康住宅の第一歩だよね。

カビの好む環境は、温度が20〜35℃前後、湿度が60%以上の環境で増殖するんだって。エサは手垢などの汚れ、壁紙や壁紙のノリ、結露水、加湿器の水や浴室のあかや石鹸、塗料なども絶好の栄養源なので、一度発生させると、根絶するのがとても難しい。温度環境は人間の快適温度とダブルので、とにかく湿度を60%以下に抑えた環境づくりを目指すことだね。60%以下だとほとんど繁殖することはないので、湿度コントロールの出来る家にすることが大事なんだよ。

湿度コントロールができる家って、隙間のない家ってことだよね。隙間があったらいくら除湿しても、あとから、あとから、外の空気が入ってきて、きりがないもんね。

さすがタマチャン、勉強が身についてるね。そして結露をさせないためにも温度差が生じないように高断熱で全空間冷暖房ができるような高性能な家づくりをすることだね。そして忘れてならないのが、計画換気で排出しきれないような過剰な湿気を出さない努力をすることが大切だよ。普通の生活をしていても下の表の量の湿気をだしているんだけど、家族数が少ないと当然発湿量が少ないので、乾燥気味になるかもね。

住宅内の発湿量(目安)
一日当りの発湿量(kg/人)
人 体 
1.5
炊 事
2.0
家 事
1.0
洗 濯
0.5
洗濯 乾燥
1.5
入 浴
2.0
5人家族の合計
10.5kg/家族
タマチャンがカビ菌なんかやっつけてやるー。でもチョット怖いかもー。
4人家族の合計
9.0kg/家族

いままでのは、主に表面結露が主原因の事柄なんだけど、内部結露は見えないだけに、もっと怖いことが起こる可能性があるんだよ。水蒸気は水とくらべると非常に小さい分子構造なので内装材として使用しているボードなんかは、通り抜けてしまうんだね。だからベーパーバリアを設けて水蒸気が壁の中に入らないようにするんだったね。それがしてなかったり、雑な工事で隙間が開いたりして、水蒸気が壁の中に入ったとするよね。そうすると断熱材の中に入った水蒸気が温度の低い方へ移動していくと冷やされて、これ以上水蒸気でいられなくなる温度になっていくよね。そこで結露が始まるんだ。この時の温度を露点というんだ。この結露した水は壁内の温度状況の変化によっては、また水蒸気に戻ることもあるんだけど、断熱材のなかでもグラスウールなどは、水分を保持しやすくなかなか元の乾燥状態にはなりにくいんだ。乾かないうちに次の水蒸気が結露する。これを繰り返すうちに多量になった結露水が下に集まり、土台、柱の根元や筋交いを湿らしてしまうんだよ。

それでかー、友達のノラがネグラにするのにあちこちの床下をさがすんだけど、湿ってて、カビ臭いとこが結構あるんだって。

そのカビ臭さは全部結露のせいじゃなくて、床下の地中からの湿気が、床下換気が十分にされてないので排出されないで、湿った床下になっているんだよ。こういう状況だと結露水で湿ってしまった木材はなかなか元の乾燥状態にはもどれないよね。こういう状況をよろこんで待っているやつがいるんだ。

だれよ、そんな気持ちの悪い環境が好きなやつは?

木材腐朽菌というカビなのさ。この菌は木材の中のセルロース成分を分解消化してしまうので、短期間で被害を与えてしまうんだよ。ナミダタケやイドタケなんて木材腐朽菌が床下にはびこったらお手上げだよ。間違いなく建物の寿命を短くしてしまうので、床下を乾燥した状態にしておく工夫と、結露を起こさせない。このことは家づくりの絶対条件なんだね。床下の乾燥については、皆よく知っていると思うけど、壁内結露については、見えないこともあり、まだ皆が注意をするとこまでいっていないのと、寒冷地では問題のない家が、東京では、危ないかもしれないということはあまり知られているとは言えないんだ。

へぇー、カビって怖いんだね。そのカビのもとが、この空気中に漂っているの?見えないからよけいこわいよね。

室内の湿度を60%以下にしておくこと。結露がしない家づくりをすること。そうしてカビと上手につきあうこと。おいしい食品をつくってくれるカビもいるんだからね。そう、そう、食品のカビで思い出したんだけど、輸入野菜の残留農薬のことをコラムにも書いたんだけど、2002年3月に落花生からアフラトキシンの陽性反応が検出され問題となったんだ。おいしい食品を作ってくれるカビの代表にコウジカビがあるよね。みそ、しょうゆやお酒がその代表例だよね。ところがね、このコウジカビの仲間にとんでもない毒素をもつカビがあることが1960年に分かったんだよ。アスペルギルス・フラブスという怪獣みたいな名前のカビが、アフラトキシンという発ガン毒素を産生するんだ。このアフラトキシンは、超微量でも発ガンを引き起こし、同じ発ガン物質のニトロソアミンの75倍の強さをもつ自然界では最強の発ガン物質なんだって。200℃程度の熱には平気で耐えるので、普通の調理法では分解しないというやっかいな特性をもっているんでカビのはえた食品は食べないようにしようね。日本ではみそやしょうゆをつくるコウジカビの一種ということから、非常に厳しい法規制をしいて厳重にチェックしているんだって。これまでに輸入食品のピーナッツ類やピーナッツバター、ピスタチオなどのナッツ類から検出されているんだって。怖いカビがいるんだね。